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レーザー加工機で面を削ってみます。
実習生のあいです。
今日はレーザー加工機を使った実験をご紹介します。
MDFの2~4 mm厚は軽く加工にも手軽で便利です。この厚さ、扱いやすいですよ、絶妙です。
9 mm厚など分厚いMDFを加工なさっている方は、powerとspeedの調整が大変そうです。
分厚いと燃えてなくても端から炭化してしまうので、z-axis(素材の厚み)設定を薄くして、2回同じラインをカットしているそうです。
しかし、アクリル板は2回に分けると断面がスムーズではなく段差ができてしまうので注意が必要なのだそうです。
そしてアクリルは鑢で削るとせっかくの滑らかな断面が傷つき白くなってしまいます。きれいに一度で切りたいですね。
勉強になります。
さて、今日の実験の前に思い出しましょう。前回は文字を浮き彫りにしました。
今回は面に注目して彫ってみます。
Rasterで削ります。
レーザー加工機にはRGB色で、コマンドを送ります。
基本は、Black rasterで面を削り、Red vectorでカット線、Blue vectorでハーフカット線の設定になっています。
削る面の深さを変えたいので、まずBlack rasterを使うためにグレースケールの%で濃さ(深さ)指定しようと思います。
【目的】
Black rasterで削られ加減を比較します。
【材料・方法】
まずはMDF 3mm厚を用意します。
その1) イラレデータ側でBlack rasterのグラジエント
0~100%のグラジエントを作り、
- 1回照射
- 2回照射(200%)
- 3回照射(300%) します。
また、ブロック枠を全面ベタで塗り、グレースケール
その2) レーザー加工機側でBlack rasterの照射条件設定
VLS2.30のBlack raster設定が、
「power 100%, speed 70%, PPI 500」だったので、speed条件を削る様子を見ながら条件設定していきました。
ちなみに、Red vectorは「power 100%, speed 4.2%, PPI 250」です。
【結果・考察】
その1) イラレデータ側でBlack rasterのグラジエント
パネル1「レーザーで彫り込み実験」
(上)グラジエントをかけた通りに滑らかに彫り込まれました。しかし、よく見ると0~300%のグラジエントでは横縞があります。とくにグラジエントの薄い領域で目立ち、指でなぞるとざらざらがわかります。また、彫り込みの深さは予想通り、照射回数に比例しているようです。
(左下)こちらのブロック枠ベタは板端に配置し、実際の削られた厚さを計測しました。
その結果、200%では2.6 mm、150%では2.7 mm、100%では2.8 mm、50%では2.9 mmの厚さに削られていました。
すなわち、
50%辺り0.1 mmの割合で比例して削ることができました。
ただし、この数値は今日の実験条件での結果であり、
- レーザーの消耗
- 手動での焦点距離の調整
- MDFのメーカーやロット差
などにっよっても異なってまいりますので、絶対値としては参考でお願いします。
その2) レーザー加工機側でBlack rasterの照射条件設定
パネル2「削るよ、」
初期設定の「speed 70%」は、深さもあり縁の焦げもなく美しい彫り具合でした。(左端から4番目列)
100%~70%は美しく面が彫れています。お好みの深さで設定していただければよさそうです。
50%になると、縁に焼き焦げが若干入り、深さも際立ちます。(5番目列)
このくらいまでが魅せるのには適当でしょうか。
そして、ここからチャレンジです。
飛んでspeed 20%、10%を試しました。
が、こちらは危険です。火は着きませんでしたが、10%は時に眩しい火柱まであがりました!そしてヤニで周辺表面が汚れてしまいました。
キャンプでは火熾し当番の私、独特の木酢液のあの香りも好きです。が、機械にもよくないので皆さんもやめましょう。
そして危険を感じたら、横に備え付けられている消火器を使ってくださいね。
しかし、深さが出せるので、様子を見ながら30%ぐらいで鑢がけをするのもありですね。
例えばこんなこともできます。雑で申し訳ございません。ゆっくり50%で3回照射すればヤニも出ずきれいに削れるかと思います。
大きめの厚め板に削って、記念コインや大切なバッジ、メダルなどを複数並べはめてもいいかもしれません。
また、パネル2のspeedの数値は最後に彫ったのですが、焦げた表面に白い文字となりました。
【応用実験】
さらに、アクリルでも同様の実験を行いました。無色透明のアクリルは削ると白くなります。
その2)の実験で、特に有用かと思われるのは、
2mm厚アクリルで1 mm以上の深さが出せた、という点です。
通常は85%speedのところ、10%まで遅くしました。一回照射です。裏から見るとこんな感じです。前回の彫り残しと同じく、削り込んでも浮き出たように見えます。
周辺にあの白いモヤモヤ~がついてしまいましたが、磨けば落とせそうです。これは使えそうです。
以上、レーザー加工機での削り込み実験でした。
そして【発展実験】として、裏から深く彫った文字と彫り残した文字で、こんな硬くて手痛いモノを作ってみました。
「か」アクリルに裏から深く彫り込み
「な」アクリルに裏から彫り残し
「や」MDFで彫り残し
「ま」や他の音はまだありません。
興味がある方には(レーザーカットの)条件をお伝えしますので、お声がけください。